大島石のお墓の移設、五輪塔型の供養塔の建立工事。竹原市内にて

三原市・竹原市を中心にお墓のお仕事をさせていただいております、安芸石材の倉橋です。竹原市内にて、山の中のお墓の移設、五輪塔型の供養塔の建立工事をお任せいただきました。

 

竹原市内 お墓の移設、五輪塔の建立

 

ホームページをご覧になったお客様からご相談をいただきました。ご高齢のお父様に代わって、三原にお住まいの娘様ご夫妻がお電話くださり、「移設の工事の様子をホームページで見たんだけど…」とお墓の移設を検討されていました。

 

移設を検討されているお墓は、竹原市内にありました。お名前がたくさん彫られた墓誌も奥に見えています。山の中にあって車を降りてから200m以上は歩かなくてはいけない場所でしたので、お参りに行くだけでも不便で、管理にお困りのようでした。

 

墓地には、代々墓のほか、このような古いお墓がたくさんありました。それぞれお掃除をしたり、お花を供えたりするのも大変になってきたので移設を検討されたようです。

同じ竹原市内のお寺様墓地の近くに墓地をすでに用意されていましたので、大きな代々のお墓と墓誌を移設、古いお墓はおまとめして供養塔を建てることをご希望でした。お見積りを差し上げて、工事開始です。

 

移設先となる墓地での工事の様子です。基礎工事のため、ユンボで土を掘削しています。少し傾斜のある墓地でしたので、重機を入れてしっかり掘削し、基礎を打つ準備をします。

 

土を掘り下げて地盤を固めたら、巻き石の基礎を打ち、しばらく養生してしっかり固めます。その後、巻き石の据え付けに入ります。

 

巻き石まで据え付けが終わりました。入口は階段と親柱を設置しました。

 

巻き石の角の部分は、L字の耐震金具と耐震ボンドでしっかりと固定します。金具は上下に二つ取り付けました。30cmと少し高さのある巻き石は、長い年月が経つと、内側からの土圧等で開いてしまう恐れもあります。それを防ぐため、このようにしっかりと固定しておきます。

 

こちらは墓地の奥側の巻き石です。こちらの墓地は横幅が4mほどあるため、このように石と石を継いで作成しています。角の部分だけでなく、こうした平面の部分もしっかりと固定します。

 

入口横、角の部分や親柱との接着部分なども、同様にしっかりとL字金具とボンドで固定しています。完成すると見えなくなる部分ですが、こうした細かな点までひとつひとつしっかり施工することは、末永く安心してお参りいただけるお墓作りには欠かせません。

 

巻き石が完成し、お墓の納骨室と基礎を設置しました。こちらは移設してくるお墓を設置するところで、写真奥には供養塔を建立します。納骨室を設置する際は、まずは地盤をしっかりと入念に固めてから、カロートを設置してコンクリートを打つよう心掛けています。これから長い将来にわたって、重量のあるお墓を支えていく重要な部分ですので、強度はとても大切です。

このあと、移設元から運搬してきた四ツ石を組み、その上に大台・上台・棹石と順に据えていきます。その後、右側には供養塔を設置して、墓誌や線香立て、拝石なども設置したら完成です。

 

移設・建立工事完了です!

 

左側に、移設してきた代々のお墓を、右側に五輪塔型の供養塔を設置しました。移設したお墓はクリーニングして彫刻の色も入れ直したので、長年の汚れが取れてきれいになっています。愛媛県産の銘石 大島石で作られた立派なお墓でした。

お写真では分かりにくいですが、代々墓は1尺2寸と大きなお墓でした。お墓のサイズは一番上の棹石の幅で表し、標準的なサイズは9寸~1尺くらいなので、1尺2寸(約36cm)のお墓は標準的なお墓に比べてひとまわりかふたまわりくらい大きいことになります。そのため、バランスの良い配置になるよう、五輪塔と代々のお墓の間隔にはお客様もこだわっておられて、図面で何度か調整して決定しました。

 

お墓の右側から見たところです。外柵には宝珠柱を使用しています。施工例などをご覧いただいた中からお選びいただきました。大島石のお墓は、一番下の四ツ石に苔などの汚れがびっしり付着し、全体に黒ずみなども見られましたが、クリーニングで汚れが取れて、大島石本来のきれいな石目や色合いが分かるようになっています。

 

五輪塔型の供養塔は、古いご先祖様のお墓をおまとめして建立しました。手前には、屋根付き香炉を設置しました。三つのスペースに分かれていて、中央が線香立、左右が蝋燭を立てるところになっています。風の影響を受けにくいため、蝋燭の火を絶やさずにお参りすることができます。

 

墓地左端の墓誌も、クリーニングして移設したものです。入口は、ご希望で通常より間口を広く取りました。階段や拝石の白っぽい部分は、すべり止め加工をしたところです。「浮かしビシャン」といって、ツルツルの磨いた面とは違って細かい凹凸があることでザラッとした質感になっており、濡れても滑りにくく安全にお参りいただけます。

 

完成したことをお電話でご連絡すると、「ありがとうございました」と喜んでいただけました。このたびは、当店にお墓の移設・供養塔の建立をお任せいただきまして、ありがとうございました。これからもどうぞ末永く大切にお参りくださいませ。

今回は、山の中のお墓の移設と、古いお墓をおまとめした供養塔の建立工事でした。実は、お話をいただいてから、まず移設元のお墓や移設先の墓地を拝見した時は、移設するお墓が1尺2寸ととても大きいこと、移設先の墓地はお参りしやすい立地ではあるものの、施工場所までの通路が狭いことから、「これは大変な仕事になるな…」と感じました。移設するにあたって、末永く安心してお参りいただけるよう工事をするのはもちろんですが、いかに安全に運搬等を行い、無事工事を終えられるかという点もとても大切です。「これは腕の見せ所だな」と、いつも以上に気合を入れて臨み、無事に事故もなく工事を終えることができた喜びはひとしおでした^^ 大変思い出深いお仕事になりました。ありがとうございました。